『ギルダ』
2007-09-19


DVDで『ギルダ』を見る。リタ・ヘイワースがヴァンプを演じて出世作となった作品。グレン・フォードがかつて結婚して離婚し、再会したヘイワースをなぜか執拗に拒み続ける。映画では明確に描かれていないが、フォードは同性愛者で、ヘイワースを(精神的にも肉体的にも)愛することができない。そしてフォードはヘイワースの今の夫である自分のボスへの愛情のために、彼女が奔放な行動を取るのを防ごうとする。一方でヘイワースは今でもフォードを愛しており、彼の気を引くためにわざと奔放な行動を取ろうとする。そうした奇妙な三角関係を軸に、ボスの秘密のビジネスとそれをめぐる殺人が絡む。おそらくフォードの同性愛は脚本ではもう少し明確に書かれていたと思うが、当然当時の映画界ではそれを描くことはできず、フォードが単にヘイワースの愛を拒み続けるようにしか見えない。作品としてはやや単調で起伏も少ないが、そうした作品の背景を考えると興味深い。リタ・ヘイワースはヴァンプ(妖婦)だが、心の底ではフォードを愛しているあたりが悪女ではなく善人のキャラクターとなっている。

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