映画音楽『アラビアのロレンス』...モーリス・ジャールとデビッド・リーン
2017-03-11


巨匠や名匠と呼ばれる映画監督には、決まった音楽家を多用し、音楽家の曲調がその監督の映画世界のトレードマークとなっている場合が少なからずある。ヒッチコックとバーナード・ハーマン、フェリーニとニノ・ロータ、トリュフォーとジョルジュ・ドリュリュー、スピルバーグとジョン・ウィリアムズ、黒澤明と佐藤勝などなどだ。その代表的な組み合わせとも言えるのが、巨匠デビッド・リーンとモーリス・ジャールである。二人の関係は、リーンの代表作『アラビアのロレンス』から始まり、以後のリーンの全作品---『ドクトル・ジバゴ』、『ライアンの娘』、そして遺作となった『インドへの道』まで続いた。作品数こそ少ないが、どれもリーンの壮大な世界観をジャールの音楽は見事に表している。 中でも最も印象的な音楽はやはり『アラビアのロレンス』だろう。もともと別の作曲家が選ばれていたがリーンの気に入らず、当時かけ出しだったジャールに声がかかった。壮大な砂漠を背景にしたスペクタクルと主人公の内省を、アラビア風のメロディを交えて大オーケストラで見事に描き出した映画音楽の傑作である。ジャールは本作品でアカデミー作曲賞を受賞し、映画音楽界のトップ・スターとなった。ちなみに他のリーン作品『ドクトル・ジバゴ』と『インドへの道』でも同賞を受賞している。個人的には『ライアンの娘』もアイルランドの壮大な風景とラブロマンスを体現した美しい音楽で、受賞に値する名曲だと思う。『インドへの道』ではジャールは当初インド楽器を用いたインド風の音楽を構想していたが、リーンは「いつもの」大オーケストラによるスペクタクル曲を要望したという。『アラビアのロレンス』「メインテーマ」
『ドクトル・ジバゴ』「ララのテーマ」
『ライアンの娘』「メインタイトル」
『インドへの道』「インドへの道」
[映画音楽]

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