「我が恋人よ、何という嗜好を身につけたことか(HOW DEADLY YOUR TASTE BUDS, MY SWEET)」
私立探偵のもとに美女がかけこんできて、サザビーのオークションで匿名でトリュフを落札してほしいと依頼する。2000万ドルの価値があるいわくつきのトリュフで、多くの組織が手に入れたがっているとか。早速サザビーにかけこんだ探偵は首尾よくトリュフを落札する。だが、依頼人の住居に行った探偵は何者かに殴られて失神。気がつくと彼は縛られ、依頼人とグルになった男からトリュフを出すよう脅される。探偵がありかを教えると男はトリュフを持参するが、それは偽物だった。男が気落ちして部屋を出た隙に、依頼人の美女は探偵の縄を解いて、自分と組んで本物のトリュフを探そうと誘惑する。が、探偵は美女の正体を見抜いて(以前パートナーだった国際的なグルメの殺人犯として)警察に引き渡す。そして一人わびしくカーネギーデリでサンドイッチをぱくつくのだった。
【一口メモ】アレン短編でおなじみの私立探偵カイザー・ルポウィッツが活躍する珍妙なハードボイルド物。(ただし本作では探偵の名前は明示されない。)前作では、神を捜したり、インテリ向けコールガール組織と対決した探偵は、本作ではいわくつきのトリュフ(マンダレイの王族が所持した後、ルーブル美術館に飾られ、第二次大戦中にドイツ軍に略奪され、戦後は大英帝国博物館から盗まれた)の争奪戦に巻き込まれる。映画「マルタの鷹」のパロディ。ラストで探偵はサンドイッチを「夢のかたまり」と形容する。
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